2004年全曲集

島津亜矢( 島津亞矢 ) 2004年全曲集歌詞
1.海で一生終わりたかった

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

甘い恋など まっぴらごめん
親のない子の 見る夢は
小さな貨物(カーゴ)に 乗り組んで
港々で 恋をして
海で一生 終わりたかった

五体(からだ)こわして 船から降りて
陸(おか)にあがった かっぱだよ
海原とおく 眺めては
無念残念 くやし泣き
海で一生 終わりたかった

海は海でも ネオンの海は
俺にゃちっとも なじめない
海には母が いるという
おとぎ噺を 追いかけて
海で一生 終わりたかった


2.北海恋唄

作詞:吉岡治
作曲:弦哲也

百も承知で 男気(おとこぎ)だして
よその火の粉を まるかぶり
他人をそれでも 信じきっている
あんた 負けたよ
腹をくくって やるしかないね
ここはヨイショと ヨイショとここは
我慢 我慢の網を引く

海は凪(な)いでも 心は時化て
家をとび出た こともある
なにもいわずに 差し出す傘に
あんた 泣けたよ
強いようでも 所詮はおんな
ここはヨイショと ヨイショとここは
ふたり 一緒に舟を漕ぐ

魚獲らせりゃ 北海一で
あとはのろけの 夫婦仲
潮の満干(みちひ)は 誰にもあると
あんた 負けたよ
骨も太けりゃ 態度もでかい
ここはヨイショと ヨイショとここは
大漁 大漁の春を待つ


3.夜桜挽花

作詞:荒木とよひさ
作曲:杉本眞人

あたしの中の 悪い子が
欲しい欲しいと またせがむ
口紅(べに)を噛み切り 投げつけりゃ
死んだふりして 夢ん中
夜桜(はな)よ散れ みんな散れ
あたしもあいつも みんな散れ
夜桜(はな)よ散れ みんな散れ
此(こ)の世も彼(あ)の世も みんな散れ
Ah…来世(こんど)は男になってやる

涙の粒が 月あかり
泣けよ泣けよと 数珠つなぎ
髪を洗って 素裸
波うつ寝台(ベッド)に 身を投げる
夜桜よ散れ みんな散れ
心も身体も みんな散れ
夜桜よ散れ みんな散れ
此の世も彼の世も みんな散れ
Ah…来世は男になってやる

夜桜よ散れ みんな散れ
あたしもあいつも みんな散れ
夜桜よ散れ みんな散れ
此の世も彼の世も みんな散れ
Ah…来世は男になってやる


4.波

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

寄せては返す 波また波を
あえぎただよう 木の葉舟
それが私の 人生ならば
一期一会(いちごいちえ)の 出会いを求め
夢という名の 舟を漕ぐ

雄たけびあげて 逆巻く波に
呑まれ叩かれ はいあがりゃ
板子一枚(いたごいちまい) 天国・地獄
明日(あす)の行方は 知らないけれど
風に向かって 舟を漕ぐ

大波小波 上げては下ろす
波に身をもむ 女舟
乗ればゆさぶる 外(はず)せば嘲(わら)う
泣くなくさるな 希望の二文字
胸にかかげて 舟を漕ぐ


5.憂き世春秋

作詞:新本創子
作曲:三島大輔

風が頬うつ 雨が泣く
あなたの背中に 隠れて越える
憂き世春秋 ふたり坂
いのち連れ添う しあわせに
賭けて悔いない 女です

いつかあなたの 胸に咲く
雪割り草だと 云われてみたい
憂き世春秋 ふたり坂
こころ寄せあい 寒い夜は
ともに飲みたい このお酒

苦労ひとつに 夢がある
笑顔をあなたと たやさずいたい
憂き世春秋 ふたり坂
花の咲く日へ 七曲がり
明日を信じて 生きてゆく


6.海鳴りの詩

作詞:星野哲郎
作曲:船村徹

五体に刻んだ 赤銅色(しゃくどういろ)の
シワが男の 五線紙だ
明るい娘に 育てたことが
冥土の母ちゃんへ でかい土産だと
笑う親父(とうちゃん)の 髭から背中から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー

酒断(さけだ)ちしてまで 口説いた女
死んだあとまで 恋女房
世間の女が カボチャに見えて
ヤモメを通したね 男盛りをよ
いばる親父(とうちゃん)の 胸から腕(かいな)から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー

母親知らずに 嫁いだ娘
無事に女房を してるやら
初孫祝って 酒のむまでは
倒れちゃなるまいと 波に揺れながら
力む親父(とうちゃん)の 舟から帆綱から
海鳴りの詩が 聞こえてくる
ヤンサエー ヤンサエー ヤンサエー


7.北海峡

作詞:中島光
作曲:原譲二

愛の渦潮 逆巻(さかま)く未練
海峡渡る 女の胸に
凍り付くよな しぶきが刺さる
捨てて来ました 悲しみは
遥か彼方に 見え隠れ
津軽の港 旅出(でた)ときに

今は引き潮 心も軋む
海峡越える 海鳥さえも
潮の流れに 戸惑うばかり
長い黒髪 切りました
もとへ戻れぬ 宿命(さだめ)なら
津軽の海を 何処までも

北へ走れば 波立つばかり
海峡染める 願い火遠く
釣瓶(つるべ)落としで 真冬の海へ
おんな片恋い ひとり旅
胸に花咲く 春はいつ
津軽の里へ 戻る日に


8.近松門左衛門原作「曽根崎心中」~お初


9.演歌桜

作詞:新本創子
作曲:三島大輔

生まれ火の国 あとにして
たどる炎の 歌の道
親のこころを 胸に抱き
越える苦労の 幾山河(いくやまかわ)よ
演歌一節 アンアアンアンアン きかせます

雨は降る降る 陣羽は濡れる
越すに越されぬ 田原坂

海は不知火 燃える波
夢をゆさぶる 阿蘇の山
花も嵐も くぐりぬけ
恋のつらさは この身の艶(つや)に
歌は真実(まこと)の アンアアンアンアン 亜矢節さ

肥後のもっこす ご贔屓(ひいき)に
声も千両の 晴れ舞台
人の情けを ふところに
音頭とる手に 桜も咲いて
演歌一筋 アンアアンアンアン たのみます


10.相生~ふたりの絆はほどけない~

作詞:たかたかし
作曲:水森英夫

おれに命を くれという
そんなあなたの 情けに泣ける
濡らすなら
あゝ濡れてゆく 相生しぐれ
傘は一つで いいですね
夢をかさねて あなたと生きる

結ぶふたりの この縁(きずな)
なんで切れましょ 解(ほど)けはしない
濡らすなら
あゝ濡れてゆく 相生しぐれ
拾う涙に くじけたら
あなた叱って この手を引いて

つよく生きるわ 生きてこそ
明日がふたりに しあわせ運ぶ
濡らすなら
あゝ濡れてゆく 相生しぐれ
泣く日笑う日 どこまでも
愛がみちづれ あなたと生きる


11.道南夫婦船

作詞:星野哲郎
作曲:新井利昌

親に貰った この血の中を
熱く流れる 命潮
元へ辿れば 父と母
いつも元気で いて欲しい
熱い祈りを 波に浮かべて
仰ぐ心の アヨイショ 駒ヶ岳

荒れる海辺に 縋って生きる
北の漁師は 波の花
群れる鴎も 仲間衆
こぼれ秋刀魚を 分けながら
地球岬を 右に眺めて
今日もあんたと アヨイショ 網を刺す

浜の女房と 呼ばれるからにゃ
雪も氷も 恐れぬが
浮気されたら わしの恥
二つ合わせて 一になる
愛の人生 海に咲かせる
夫婦船だよ アヨイショ ほまれ船


12.愛染かつらをもう一度

作詞:星野哲郎
作曲:新井利昌

花と嵐の 青春を
涙と共に 生きるとき
父さんあなたの 主題歌だった
古い艶歌が わかります
いつかいっしょに 唄いましょうね
愛染かつらを もう一度

灯りさざめく 東京の
日暮れは夢の 吹き溜まり
父さん私は あなたの娘
負けはしないと 唇を
噛めば心に 聞こえてきます
愛染かつらの あの歌が

真実(まこと)つくした男道
破れたけれど 悔いはない
俺にはかわいい おまえがいると
酔えば口癖 お父さん
どうぞ元気で 唄ってほしい
愛染かつらを いつまでも


13.感謝状~母へのメッセージ~

作詞:星野哲郎
作曲:弦哲也

ひとりだけの とき
誰もいない とき
そっと小声で 呼ぶのです
お母さん お母さん
呼んでいる内に 口の中が
甘く切なく なるのです
お母さん お母さん
あとになり さきになり
歩いた 砂山
あとになり さきになり
さがした しあわせの星
お母さん お母さん
あのときも 言えなかった
あなたに贈る ありがとう

旅に泣いた とき
とても寒い とき
窓に名前を 書くのです
お母さん お母さん
書いている内に 胸は晴れて
生きる希望を みつけます
お母さん お母さん
あとになり さきになり
連れとぶ かもめは
あとになり さきになり
あなたと さがした倖せ
お母さん お母さん
あのときも 言えなかった
あなたに贈る ありがとう

お母さん お母さん
あのときも 言えなかった
あなたに贈る ありがとう
あなたに贈る 感謝状


14.母ごころ宅配便

作詞:星野哲郎
作曲:聖川湧

風邪をひくなと 送ってくれた
綿入れ羽織が 泣かせるね
心づくしの 宅配便に
一枝(ひとえだ) 添えた 紅梅(こうばい)の
花は 花は 花は
わが子に賭ける 母の夢

蝶よ花よと 育ててくれた
苦労は涙の つづら折り
男女(おとこおんな)と 指さされても
化粧も せずに 働いた
愛を 愛を 愛を
夕陽に偲ぶ 母の恩

生まれ故郷を 忘れるなよと
ちりめん鰯(いわし)も 入れてある
磯の香りの 宅配便は
街より 一歩(ひとあし) 先にくる
春を 春を 春を
わが子に送る 母ごころ


15.出世坂

作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介

千里を走る 虎よりも
一里を登る 牛になれ
やると決めたら 男じゃないか
曲げるな道を ひとすじの
闘志が結ぶ 出世坂

こぼれた人に 手を貸して
一緒にこける 時もある
いいさ待とうよ またくる春を
死ぬまで続く 人生の
灯りは人の 愛だから

紬は雪で 艶を出す
流れて石は 丸くなる
苦労くの字に からだを曲げて
涙と登る この坂が
明日へ続く 出世坂


16.瞼の母(セリフ入り)

作詞:坂口ふみ緒
作曲:沢しげと

軒下三寸 借りうけまして
申しあげます おっ母さん
たった一言 忠太郎と
呼んでくだせぇ
呼んでくだせぇ たのみやす

「おかみさん 今何とか言いなすったね
親子の名のりがしたかったら
堅気の姿で尋ねて来いと言いなすったが
笑わしちゃいけねぇぜ
親にはぐれた子雀が
ぐれたを叱るは無理な話よ
愚痴じゃねぇ 未練じゃねぇ
おかみさん 俺の言うことを
よく聞きなせぇ
尋ね 尋ねた母親に
倅と呼んでもらえぬような
こんなやくざに 誰がしたんでぇ」

世間の噂が 気になるならば
こんなやくざを なぜ生んだ
つれのうござんす おっ母さん
月も雲間で
月も雲間で もらい泣き

「何を言ってやんでぇ
何が今更、 忠太郎だ 何が倅でぇ
俺らにゃおっ母はいねぇんでぇ
おっ母さんは 俺の心の底に居るんだ
上と下との瞼を合わせりゃ
逢わねぇ昔の
やさしいおっ母の面影が浮かんでくらぁ
逢いたくなったら
逢いたくなったら 俺ァ瞼をつむるんだ」

逢わなきゃよかった 泣かずにすんだ
これが浮世と いうものか
水熊横丁は 遠灯り
縞の合羽に
縞の合羽に 雪が散る

おっ母さん